第460回 インバウンドを深めて

 アメリカの旅行雑誌「トラベル+レジャー」とう雑誌が、7月2日に発表した今年の世界の人気観光都市ランキングで、日本の京都市が初めて1位になった。

 同調査は読者投票によって決定し、ちなみに2位はアメリカのチャールストン、3位はイタリアのフィレンツェということだった。

 京都は一昨年が9位、昨年が5位という結果で、3年越しで首位を奪還したという形である。

 ランキングは、風景、文化・芸術、食などの項目の総合評価で決まる。

 京都市の話によれば、食、文化の評価が高かったとされている。

 和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたことも大きく影響していると考えられる。

 こればかりではなく、東京オリンピックやラグビーのワールドカップ、富岡製紙工場の世界遺産登録など、日本開催のイベントもあってか世界中から日本が注目されているのは間違えないのである。

 観光庁では、昨年訪日外国人観光客が1000万人を突破し、この勢いで2020年までに2000万人を超えたいと大きな目標を掲げている。

 しかし、少し目線をずらして考えてみたい。

 日本政策投資銀行の「アジア8地域・法人外国人旅行者意識調査(平成25年度版」やトリップアドバイザーの「世界の人気観光都市TOP25」をみても、挙げられている都市は東京、大阪、京都、北海道(札幌)ばかりである。

 ここに日本のインバウンドの大きな問題があるのではないだろうか。

 東京、大阪、京都はいずれも大都市で、成田から関西空港を新幹線で結ぶ、別名「ゴールデンルート」沿いである。

 もちろんこれらの地は交通の便も良く新幹線や富士山も堪能できるとあって人気が高いのは事実である。

 しかし、前回の台湾の例ではないが、日本の古き町並みや和風温泉旅館を希望している外国人は多いのである。

 それに対し、現状ではこたえきれていないという問題がある。

 これは個々の旅館やホテルが大きく動いても限界があるのである。

 そのため、地域、あるいは都道府県単位で取り組まなければいけない問題である。

 2020年までに訪日外国人観光客を現在の2倍にするという大きな目標を掲げるならば、鉄道等交通網の整備もさることながら、大都市圏だけではない場所に、外国人観光客がいかに足を運ぶか、そして、大都市圏以外の観光地の魅力をいかに外国に周知し、認知させていくかということが最重要課題と位置づけられるのではないだろうか。