第459回 台湾を考える

 サッカーワールドカップの折、野球の話で恐縮だがWBC(ワールドベースボールクラシック)の際、東京ドームで行われた日本対台湾戦。

 台湾のエース王建民の前に日本は延長10回になんとか勝利を収めた試合。

 非常に盛り上がった試合だったので記憶している方も多いのかもしれない。

 しかし、あの試合にはもっと野球以外のドラマがたくさんあったのだ。

 東日本大震災、多くの被害が発生する中、一番に義援金を出してくれたのが台湾だった。

 その後も物資など様々な援助をしてくれたのだが、正式に国ではないという見識より日本政府は台湾に対しての公式な御礼を行えないでいた。

 それを知った人たちがSNSで呼びかけ、謝謝台湾キャンペーンを行い、台湾大手新聞に全面広告出すなどして感謝の意を伝えた。

 そして、あのWBCの日。

 日本側には『謝謝台湾!加油!』と書かれたプラカードを持っている日本人の応援客がおり、方や台湾側にも『日本もガンバレ!』とかかれたプラカードを持っている人がいた。

 スポーツの世界で勝負事の世界でこれほど美しい光景は稀だと言える。

 そして、極めつけは試合終了後、延長10回の末に敗れてしまった台湾選手は、マウンドに集まり360°円になり深々と日本への感謝の気持ちでお辞儀をしたのだ。

 前回より、日本文化、そして台湾ということを書かせていただいている。

 では、なぜ台湾なのかということであるが、上記のエピソードを見てもわかるように、単純ではあるが、台湾は日本のことを好意的にとらえているのである。

 この点より考えるに、台湾人は日本に対して悪い感情を持っている人が少ないがゆえ、日本の様々なことに興味があるのである。

 よく営業でドアを開けてもらうまでが大変だという話があるが、インバウンドを行う中で台湾はドアを開けてくれやすい状況にあるのである。

 実際に日本政策投資銀行の資料によると、海外旅行に行きたい国というアンケートにおいて、約68%もの人が日本と答えており、圧倒的な1位である。

 そして、何よりも日本で行ってみたい(経験したい)ことという問いに関して、1位日本の街並み、2位温泉、3位寺社仏閣、4位和風旅館、5位桜となっており、イメージとして大都市にということよりも、のんびりとしたどこか懐かしい日本のイメージが強いのではないだろうか。

 言い換えれば、台湾人が望む日本の旅行とは、昔ながらの町並みが残るような街の和風旅館に宿泊し、のんびり温泉につかりながら、和食を食べるということになるのではないだろうか。

 そう考えると、非常に日本人に感覚が近く、我々日本人が温泉旅館に求めていることと非常に近い気がする。