第449回 ハウステンボスに学ぶ 再生手法

 企業を立て直す。

 いわゆる再生を行う上では、様々なポイントがある。

 以前から、お話しさせていただいているように、経営者が数字に強くなること、経営者の思いをしっかりすることなど、実務に照らし合わせた事例をいくつか紹介してきた。

 今回は最近ではすっかり有名な話ではあるが、ハウステンボスの事例について紹介したい。

 ハウステンボスは、長崎県佐世保市にあるオランダの街並みを再現したテーマパークで、1992年に開業した。

 当初は話題になり、来場客数は1996年までに右肩上がりとなり380万人を記録するまでになっていった。

 しかし、経営の状況は開業当初より厳しく、開業以来ずっと赤字が続いていた。

 ニュースにもなったが、2003年まで一度も黒字に転換することなく、ついには会社更生法の適用を申請し、野村ホールディングスが再生を支援するような形で経営に参画した。

 しかし、野村ホールディングスでも再生はできず、2010年に野村は撤退、変わってエイチ・アイ・エス(以下HIS)が支援することになった。

 その間創業以来18年間、経営はずっと赤字であった。

 HISの支援を受け、HISの現会長、澤田氏が社長に就任し創業から18年連続で赤字であったハウステンボスは、わずか1年で黒字に転換、直近の2012年11月から2013年7月期の連結決算では純利益56億円、決算での業績予想ではあるが100億円に迫るとされているほどの利益体質に改善したのである。

 では、澤田氏はどの様に18年間赤字であったハウステンボスを黒字に見事に再生させているのか。

 それは、難しいことではなく、ごくごく当たり前のことを徹底して行っているに尽きるのである。

 そのいくつかを数回に分けて紹介していく。

 まず、澤田氏が行ったことは、現状の分析とのことである。

 まず、現状のハウステンボスの中を一人の消費者として園内を散策し、消費者の立場に立った場合の課題を抽出した。

 それは、敷地面積・施設と従業員数が合っていないため、施設内にやっていないブースが多いということ。

 そして、経営状況に伴いなのか園内がどことなく暗い雰囲気だということである。

 そのため、澤田氏はまず、パーク全体の40%を無料エリアとして開放、残りの60%を有料ゾーンとした。

 それにより、無料エリアには、わずかな施設を残すのみとし、有料エリアに人員を集中したため、パーク全体に活気と明るさが戻ったのである。

 これは、よく言う『選択と集中』の代表例のような事案だと言える。

 さて、ここで自社を振り返ってみてほしい。

 今自社で無駄はないだろうか。

 徹底し消費者の立場に立ち自社を振り返り、無駄があれば選択をし、パワーを別のところに集中させる。

 これにより、雰囲気や活気が戻り、空気を変えることができるのである。

 次回も引き続きハウステンボス再生の手法を紹介していきたい。