第426回 コスト削減の基礎

 利益をあげるためにという課題は、どの業種にも共通する営利企業なら目指すべき姿であるが、これがなかなか難しいのが現実であり、なかなかビジネス書やコンサルタントの言うようにいかないのが正直なところである。

 しかし、発想を変えてみると、利益の上げ方は4つパターンしかないのである。

 1、顧客数を増やす。

 2、単価を上げる。

 3、原価(仕入)を下げる。

 4、コストを下げる。

 並べてみると、さも当たり前なことばかりではあるが、この大きな表題を自社に落とし込むことが難しい部分であり、またこの中のどれか一つを行えばよいというわけではなく、4つ同時に行っていく方法が最も望ましいのは言うまでもない。

 大切なことは、この中で、自社の持つ限られたエネルギーを注ぐかということである。

 その場合、自社の中で、利益シミュレーションを行ってみて、インパクトの少ないものほど取り組みやすいという様々な指標がある。

 しかし、一般的には、1番は顧客数が取り組みやすく、最も難しいことはコストだと考えられている。

 さて、これからのシリーズでは、利益を上げるためにはというこの4つのパターンを触れていきたいのだが、始めに難しいコストからふれていくことにする。

 コストは切れるものは切るという単純なものは除き、実は下げることが難しく、徹底的に行ったが故に職場環境が悪くなり、それが業務効率、従業員意識の低下、ひいては顧客満足度を下げるという最悪のケースも珍しくない。

 今回は営業コストということについて考えていきたい。

 営業コストで常に意識しなければいけないことが『費用対効果』ということであり、営業の現場では日夜言われ続けている話である。

 この営業にかけるコストを厳密に考えたときに、まず、旅館の戦略をしっかり把握する必要がある。

 つまりはターゲット層をしっかり決めるということである。

 例えば、自旅館はどちらかと言えば若者向けの旅館を目指していきたいという旅館があった場合、当然料理や客室にはその演出が施されるのだが、営業の現場ではどうであろう。

 若者は旅行雑誌を購入するであろうか、購入するとしたらどのような雑誌なのかをしっかり把握し、同じコストをかけるのであれば雑誌よりもインターネット広告の拡充化や、SNSの利用などに重きを置くべきではないか、といったことである。

 当たり前のことではあるが、これがなかなかできていない旅館が多いのが現状である。

 以前も書いたが、自旅館をしっかり把握し、ターゲットを明確にし、その戦略を基にマーケティングをしっかり行い、そしてコストをかける。

 これもまた、無駄なコストの削減の上級手段かもしれない、いや、私は第一歩であるべきであると考えている。