第418回 経営計画の策定

 金融円滑化法終了に伴い、経営革新等支援機関認定制度が始まり、ホテル・旅館のみならず様々な形で対応している。

 その中で、経営計画をきちんと作成することが要綱に上がっており、各企業ともに税理士の先生や、コンサルタントなどその他専門の方と軽軽計画を策定しているのであるが、その経営計画について今回は触れていきたい。

 経営計画を策定するのであれば、当然、金融機関との折衝を伴っている。

 金融機関としては、何年後の黒字化なのか、債務超過は何年で解消するのかといったことに着目し、計画としても、そのような数字の落とし込みを行っているところが多い。

 実際に、できた経営計画をみると、すべてとは言わないが、金融機関への対策をにらんでの強引な数字作りをしているような計画も見受けられる。

 しかし、これはもちろん本来ではない。

 実は経営計画を策定する際に一番大切なことは、金融機関の評価は低いかもしれないが、『社長(経営者)の思い』なのだと私は考えている。

 この会社がどの方向に進むべきか、自分の会社に愛着と誇り、そしてどんなこだわりをもっているのかといった社長の思いこそが、会社として進むべき進路となる。

 経営計画を策定するうえで、はっきりしているのであれば、それを基本として、もし、忘れてしまっていたり、ぼんやりとしているのであれば、はっきりと浮かび上がらせること。

 これこそが、まさに計画の第一歩なのだと考えている。

 そして、次に浮かび上がった『社長(経営者)の思い』をしっかりと幹部や従業員に伝え、理解、共有し、進むということが大切である。

 この思いを周知、認知、浸透させることによって進むべきベクトルを合わせることができ、それが他社との差別化を図ることになったり、営業成績の向上につながったりと、会社の発展の礎となるのだと思う。

 今回はホテル・旅館に限った話ではないが、最近の経営計画があまりにも金融機関対策化しているものが多く見えるので、このような話をした。

 金融機関への対策はもちろん必要である。

 しかし、本来の計画を策定する目的は会社の発展であり、そのためには進むべき方向をしっかり見失わないようにしなければいけない、本来の経営計画を策定する目的こそ見失ってはならないのではないだろうか。

 今回は本末転倒になってしまっている経営計画について、警鐘を鳴らしたい。