第412回 外国人と向き合う ②

 少し前、2010年に発表されたJNTOの調査がある。

 日本へ来る前に期待したことを尋ねると「日本の食事」(58.5%)と答えた人がトップ。

 次いで「ショッピング」(48.5%)、「温泉」(43.4%)、「自然景観、田園風景」(41.8%)、「伝統的な景観、旧跡」(37.6%)と続いた。

 同様にJNTOが2006年に行った調査によると、「日本の食事」と答えたのは19.4%に過ぎなかったが、2007年には36.5%、2008年には58.5%と、食が日本の観光魅力に欠かせないものになっているようだ。

「日本の食事」と答えた人に、特に満足したメニューを聞いたところ「寿司」(42.1%)と答えた人が断トツ。

 このほか「ラーメン」(20.8%)、「刺身」(19.8%)、「天ぷら」(11.1%)、「うどん」(8.9%)だった。

 「ラーメン」と答えたのは「台湾」(36.2%)、「タイ」「香港」(いずれも29.2%)、「シンガポール」(28.2%)、「韓国」(24.1%)など、アジアからの観光客が目立った。

 一方、「天ぷら」と回答したのは「英国」(20.6%)、「フランス」(18.4%)、「米国」(17.8%)、「カナダ」(15.1%)など、欧米から来た人が多かった。

 そして最新(平成25年1月~3月期)の全訪日外国人消費動向調査の結果が観光庁から発表されている。

 それによると、訪日外国人が日本国内において支出した一人当たりの旅行中支出額は平均112,594円であり、前年同期と比べ微減の4.0%減となった。

 しかし 訪日旅行の満足度は、「大変満足」39.5%、「満足」51.6%で、あわせて91.1%が満足している。

 再訪意向は、「必ず来たい」52.2%、「来たい」40.9%で、あわせて93.1%が再訪意向という結果となった。

 これは素晴らしい、高評価といえるだろう。

 食が日本の観光魅力に欠かせないものになっているのは、間違いない、でもこのメニューの中で、旅館がどのくらい貢献したかとなると、なんとも分かりにくい。

 トップ5のメニュー、「刺身」「天ぷら」は旅館でも定番だが、「寿司」「らーめん」「うどん」は、メイン献立から外れる。

 食が満足度の主要要素をなすならば、93.1%が再訪意向という中に、「もう一度旅館へ泊まって、旅館の料理を食べたい」という希望は、ダイレクトに伝わってこない。

 訪日外国人に、まだまだ「旅館」の存在は十分でないかもしれない。

 旅館に泊まり、ヘルシィーな和食を堪能する、最も日本らしい「じゃっパン・クール」体験を味わってみたら、「ラーメン」より、もう一度食べたいものが見つかるかもしれない。

 世界に向けて旅館の発信、和食の発信、彼らのより思いで深きジャパン旅行のためにパワーアップしなければならない。