第410回 クレームと向き合う

 観光・旅行業界にいつもいると逆に見えなくなってくるものがある。

 消費者目線である。以前、この場で消費者感覚を忘れないようにということを書かせていただいた。

 たびたび耳にするのであるが、旅行、特にホテル・旅館のこととなると、誰もが専門家のような、一見評論家のような感覚をもって話すことがある。

 それは、誰にとっても旅行ということが特別で非日常だということ、それゆえ、期待値も印象も高いということである。

 だからこそ何気ないことが大きなクレームにつながる。

 そして、インターネットを通じて口コミという形で広がっていくという何とも苦しい循環を強いられている。

 特に、口コミは昔は信用度が薄く、近しい友人などによる情報でもない限りは重要視されなかったが、最近では口コミによって旅館を選ぶといった傾向もあるくらいである。

 言い換えれば、今まで以上に情報の伝達がいい情報も悪い情報もすぐに出回るということである。

 そこで、もしクレームがあった場合の対処法を確認していきたい。

 これはホテル・旅館に限った話ではないが、もしお客様からクレームがあった場合、最終的に良い結果につなげるということを帰着点として考えることが重要である。

 そのためのポイントとして、まずお客様の前では、1部下任せ、たらい回しにはしないこと、2こちらの言い分は我慢して、相手の言い分を聞く、3迅速に対応し、丁寧に詫びるの3つが挙げられる。

 そして内部的にはそのクレームを共有し、今後の発生を防ぐ方法を考えることである。

 クレームこそ、売り上げ拡大のきっかけになるのである。

 クレームが起こった場面は、いろんな形があるにせよ、その場面において普段気づかなかった場面であることが多い。

 その場面を迅速にカバーすることにより、今後の発生を防げる。

 つまりは、見つけられなかった減点箇所を修正できるのである。

 また、最近では、ネットの口コミ欄に書き込まれるケースが多いがすぐに返信をし、丁寧に謝罪する。

 ホテル旅館業は加点評価というよりは減点評価の意味合いが強い。

 それは前述したように、非日常的でみな楽しみにしている、期待値が初めから高いからである。

 それでもお客様は千差万別であるから減点場所はないとは言えないが、100-1=0にならないよう、また、なってしまうお客様を減らせるようクレームにしっかり耳を傾け、クレームをもらうということが明日の発展につながるのではないだろうか。