第394回 青森県の取組み③

 今回の青森県の取り組みとして、もうひとつ特徴的なことは、今回の事業が2つの課が横の連携で行っていることにもある。

 1つの課で行っているのが、先日来書いている宿泊客満足度調査を行いその結果を基にコンサルティングを行う事業。

 そして、もうひとつは、財務分析を行い、その結果に基づきコンサルティングを行う事業である。

 この2つの事業を県の行政で行うということによって、県内の宿泊施設の経営基盤をより強固にし、観光事業に力を入れていくということである。

 もちろん、宿泊客の満足度調査や財務分析などは、それぞれに行っている宿泊施設も多いのだが、この事業は、県の事業としてそれを行い、なおかつ、2つの課が連携して行うというスタイルはあまり見ない、青森県のすばらしい取り組みといえる。

 さて、そのコンサルティングの一例を紹介しようと思う。

 例えば、ある旅館では、宿泊満足度調査により、宿泊客の満足度は料理にウェイトが大きい旅館があった。

 それゆえ、料理の中身を見直し、調理長と話をしていく上で、この料理をもっと広くアピール指定校ということになったのだが、話を聞いていくと様々な課題が出てきた。

 その一つは、接客係との連携である。

 その旅館では、青森県の地の物を生かし、宿泊客に地域色の強い食材を使用している。

 しかし、アンケート調査からは、味の評判や盛り付けの評判は聞こえるものの、食材や地域色といった部分は聞こえてこなかった。

 その理由として、どんな食材を使用しているのか知らなかった従業員がほとんどであったためであった。

 そのため、せっかくの食材が宿泊客に伝わっていなかったのだ。

 また、料理を見直す上で、食材の仕入れに関しても仕入れの管理があまり行われていなかったということが判明した。

 そのため、原価管理もきちんと行われていないケースも存在した。

 そこで、この旅館の今後の経営戦略に対するコンサルティングとして、まず宿泊客満足度調査の事業として、接客係の接客スキルの向上、特に旅館の強みである料理の特徴についてしっかり説明することを徹底させる。

 そして、この強みである料理を広くアピールできるようにホームページの再検討を行う。

 同時に、財務分析を行い、仕入れの分析を行い、それにより原価管理をするという経営戦略を立てた。

 まさに、外向けの戦略と内向けの戦略を同時に専門的に行えるということである。

 次回は、この事業の成果を実際の旅館の声を参考にして執筆使用と思う。