第366回 外国人観光客より考える日本文化 ②

 2011年、訪日した外国人旅行者は622万人。

 それを国・地域別の割合でみると1位、大韓民国(以下韓国)で約166万人、2位、中華人民共和国(以下中国)で約104万人、以下台湾、香港、タイと続いている。

 一目でわかるように圧倒的に訪日する外国人旅行者はアジアが中心なのだ。

 昨年は東日本大震災の影響で訪日旅行者は対前年比72.2%と落ち込んでしまったが、2010年は861万人が訪日している。

 観光庁のビジット・ジャパン・キャンペーンでは訪日外国人旅行者目標を1000万人と設定しており、目標には若干届いていないが、観光庁は2013年にその目標を達成することを目指しており、その方針の核として、中国からの旅行者を現在の4倍近くの390万人に増やすことを目指している。

 このことからもうかがえるように、今後外国人ということが一つのポイントと言える。

 中国人旅行者を考えるうえで外せないのが『ゴールデンルート』と呼ばれる、新幹線・富士山・家電といったツアーである。

 しかし、日本政府観光局(JNTO)が調べた最新の調査によると、中国人旅行者の訪日に期待することでは、1位、温泉、2位、食べ物となっており、大都市圏を巡るいわゆる『ゴールデンルート』とはニーズが異なってきているように思われる。

 そのため、中国人旅行者をターゲットにするのであれば、『ゴールデンルート』に変わる新しい旅行を創出できるのではないだろうか。

 もちろん、文化の違いや中国旅行業者の問題など、乗り越えなければいけない壁はたくさんある。

 よく失敗談も耳にするが、温泉と食べ物・食事と考えた場合、どのような施設が中国人旅行者のニーズを満たしているのかは言わずもがなである。

 では、中国人旅行者を『ゴールデンルート』以外で呼ぶにはどうしたらよいのか。

 そこには中国側の問題がある。

 簡単に言ってしまえば、日本の温泉地を知らないのである。

 中国人に人気の旅行地で実は2位に北海道が挙げられているが、これは中国のテレビドラマの舞台に北海道が使われからで、中国人旅行者こそ、日本に温泉と食事を期待して旅行をするが、という状態である。

 ここにいち早く、そして施設単位ではなく温泉地として取り組む。

 そこに今後のインバウンド施策の鍵があるのではないだろうか。