第264回 青連携商品に取り組んでいる青森

東北新幹線がこの12月、八戸から新青森までつながる。地元では全線開業に向けて様々な取り組みが行われている。

 その中で青森県経営支援課では本年度「観光商品企画事業」を執り行った。 これは観光関連事業者を対象に新幹線が開通したときを想定して、魅力ある商品を実際に構築し、その成果を公表することによって、いい意味での刺激を波及させようとするものである。

 当初はそれぞれの企業が独自の商品を開発することでスタートしたのであるが、大部分が大きな壁にぶつかってしまった。そもそも零細観光事業者の多くが、顧客に対して他社と優位差別化のある魅力的な商品力を持ち合わせていないのが現実である。

 したがって、今まで取り組んできた発想や方法を継続することだけでは限界が見えてくるのである。それならば、複数の事業所がお互いの弱いところを補うことにより、新たな商品を作ろうということになった。

つまりキーワードは「連携」である。

 商品を開発する場合、顧客の旅行目的や動機を無視し、自分の都合だけで進めていくと、結果的には顧客に受け入れられないものができてしまう。青森県へのアクセスが便利になり、一時的に入り込みの増加は見込めるかもしれないが、その後も思惑どおりの数が確保できるという保証はない。

 現時点で大手のエージェントの商品として構成されている旅館や旅行コース・観光ポイントは、商品のライフサイクルから見ると成熟期にある。 

 だからマンネリ化を少しでもなくそうと「生誕百年記念」だとか大河ドラマのゆかりの地だとかにかこつけての集中的な送客やイベントに頼る傾向にある。

 しかしこれも商品の陳腐化が加速されるのでそう長く続くものではない。今、連携商品を築づくうえでの重要ポイントは、その土地ならではの「埋もれた本物」であり、まだ「観光の対象となっていない物事」である。

 これこそがわざわざその地まで行く価値があるものであり、それを作り上げるのは新たな観光資源の発掘と棚卸しである。
 そしてそれぞれが持っている小さいけれど他にはちょっとないものを連携商品として作り上げる。

 このような発想から新幹線開業と同時に、新たな魅力ある青森を発信しようとしている。