第294回 得意客情報の共有と活用

  地元向けの忘新年会企画商品が出来上がり、セールスを始めた旅館も多いことだろう。

手数料がかからない直客は旅館にとってありがたい存在であり、その重要度は増す一方だ。

 地元直の団体は、従来からその旅館の顧客というよりは営業担当者の顧客という認識が大きい。

  だからその顧客が宿泊するときは、営業担当者がつきっきりで対応するということが、当たり前のように行われてきた。

  自分の顧客を大事にするということには、なんら問題がないが、これらの得意先情報を旅館全体の共有情報として、共通の認識を持って活用していかなければならない。

  そのためには、営業の得意先情報と接客情報とが互いにリンクしあい、その顧客にとってプラスアルファの対応ができる準備をしていくことが望まれる。

 このしくみを旅館の決まりごととしてあらかじめ取り決めをしておくことが重要だ。

 例えば得意客が宿泊する場合、その情報をどのセクションに提示するかということや、得意客に対する接客サービス内容について、具体的に決めておくことである。

 顧客カルテは毎日増え続けるものだ。だからその重要度によってランクわけを行い、メンテナンスは定期的に行わなければならない。そしてこれをいかに活用するかは、その顧客にいい印象をもってもらい、さらにリピートしてもらうことを目的としている。

 顧客情報は慎重に扱う必要があるし、必要以上の個人情報の活用は、ひとつ間違えるととんでもないことになるのは言うまでもない。

 リピーターであろうがなかろうが、基本的にはその料金に見合った商品をきちんと提供することがまず持って重要である。

 さらにリピーターに対していかに対応するかは、各部門の責任者が事前に十分な協議をすべきである。

 これを重要視している旅館が顧客の評価も高いようだ。

 いまだかつて営業と内部スタッフの壁があり、何かと対峙している旅館があるとすれば、そんなことをしている場合ではないということを、経営者が認識し早急に改善していかなければならない。