第286回 課題解決は根本原因の解明から

 ある中規模旅館での出来事である。現場の課題を見つけ出し、解決を続けることで提供商品のブラッシュアップを続けている。

 ある日、厨房から社長に、最近食器の破損が目立つとの報告を受けた。そこでまずは破損の現状を把握することからはじめるため、毎日の破損した食器を集めて写真を撮り記録するとともに、各フロアおよび宴会場のパントリーと洗い場に幹部社員を抜き打ちで配置した。そして現場のオペレーションがどうなっているのかを確認した。

 その結果、残飯や飲み残しを捨てることなくコンテナ(ばんじゅう)に入れていること、また、ガラスや食器、コンロも分別することなく、ひとつのコンテナに押し込んでいた。

 これがいたるところで行われていたため、コンテナが数多く必要となるとともに、食器の破損があとをたたない直接的な原因であることが判明した。

 経営サイドでは、当然この直接的な原因をクリアしていくとともに、なぜこのようなことになっているのかという、根本的な原因が必ず別のところにあるはずだという仮説を立てている。

 そこでさらに現場スタッフの行動と意識を調査したところ、接待係は団体・グループ客を二次会に誘導し、同席することができたとしても、下善の仕事があるため、すぐに二次会の接待へ移行することができず、機会損失が生じる場合が多いという。だから、できる限り早く下善をすませ二次会会場へ合流するために下善のオペレーションがぞんざいになってしまっているということが判明した。

 経営サイドでは、接待係が団体客を二次会へ誘導し、二次消費拡大に貢献することは大歓迎である。この場合の売上と、これをスムーズにするために下膳専門の臨時スタッフを数名雇うことのコストを計算し、団体客の入り込みに対応できるスタッフを即座に増やした。

 このような一部の現場だけでは対応できないが、部門間の連携と大局的な判断で一気に解決できる課題が結構あることがわかった。

 まだまだ他の部署に対しては無関心という風潮が消えてはいないが、このような結果をひとつひとつクリアしていくことでブラッシュアップが確実に実現していくのである。