第687回 安倍予言を的中させてはいけない!

多くの人が予想したくなかったことが、現実になった・・・とでも言わんばかり、イギリスのEU離脱が連日の報道大合戦となった。離脱が決まればすぐに1ドル=100円を割り込む。輸出企業の想定為替レートは105~115円が多いことから、数百億円の減益要因だ。

EU離脱報道の内容は、恐ろしいことになっており、安倍首相が伊勢志摩サミットで言った『リーマン・ショック前と似た状況』という、“安倍予言”が当たってしまうかもの勢いにある。

 

その主な内容は・・・

まず、スコットランドの独立機運が再燃しだすかもしれないという点。スコットランド自治政府のスタージョン首相は、国民投票で離脱派が勝利すれば「再度、独立を問う住民投票を実施する」と強調してきた。スコットランドでは残留支持が62%、スコットランド単独でEUに加わる可能性も出てきた。

北アイルランドでも残留支持が56%で全体と逆の結果、アイルランド統一に向けた住民投票を今こそ実施すべきという機運が盛り上がり始めている。

スコットランド、アイルランド共に、英国からの離脱を求める声が強まってきた。

グレートブリテン及びアイルランド連合王国」つまり、英連合王国崩壊への懸念を否定できなくなる。

 

さらに、EUそのものの瓦解(がかい)の恐れが心配されている。

他の加盟国でEUかユーロ圏からの離脱が騒がれ始めると危ない。ギリシャ、スペイン等にユーロ圏離脱が再燃する恐れがあり、そうなるとユーロ自体が崩壊しかねない。4年前に懸念されたギリシャのユーロ圏離脱、つまり「グレグジット」をもじって、「ブリテン(英国)」と「イグジット(脱出、転じてEU離脱)」の合成語「ブレグジット」が生まれている。

 

そしてスポーツ界も、無視できない。

イギリスがEUを離脱すると、世界的サッカーリーグのプレミアリーグに大きな影響が生じる。

選手たちの労働ビザ発行条件により、EU圏内の選手であるためにプレーできていた108名もの選手が、基本的には外国人扱いとなり、労働ビザを発行できずにチームを去ることになると言われている。

クリスティアーノ・ロナウド、フィリペ・コウチーニョ、エムレ・ジャン等多くの選手がプレーできなくなる計算となり、プレミアリーグからスーパースターがいなくなる

スペインやドイツ、イタリア、フランスに奪われかねない。

 

EU離脱を決定させた陰の、そして最大の原因は、「移民問題」だと言われている。

EU加盟国民は原則として、在留許可や労働ビザを得ることなく他の加盟国に自由に滞在できる。

英国で人口急増中の移民は、04年と07年にEUに加盟した旧ソ連ブロックの東欧諸国出身者が多い。英国家統計局によると、英国に在留する東欧EU諸国の国民は、04年の14万人から14年の157万人へと11倍に急増。中でもポーランド人は7万人から85万人へと12倍になり、英国の在留外国人トップに躍り出た。在英ルーマニア人も18倍増の18万人に上る。このままでは移民問題は悪化、雇用は悪化、賃金は悪化、そして我々の生活も悪化する、そんな移民流入を食い止めるにはEU離脱しかない・・・と決断したイギリス。しかし、原則的には「病巣部を残したまま」の決断である。

やっぱりマスコミが言う通り、大変な事態、今後の2年間、イギリスの動向を見逃すことはできない。

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2016年6月26日IKG(~飯島経営グループ)
カテゴリー:飯島賢二のコラム


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