第673回 秩父神社の立札

保育園の入園不承諾通知が届いたようで、激しい怒りが込められた内容の匿名投稿ブログが、大きな話題を呼んでいる。我が子が保育園落ちた腹いせに、「政治が悪い」、「政治家半分クビにして、日本もついでに死ね!」とばかり、ちょいと愚痴ってみたら、大変な騒ぎになった。

何を勘違いしたのか、民主党やら共産党やらの女性議員先生たちが、国会に持ち込んだ。

こうなればマスコミはノリノリで、連日「保育所作れ、保育士足りない」の大合唱となってしまった。

 

BS日本テレビに作家の曽野綾子氏が出演、「日本死ね」に対して、強烈なパンチを打つ。

「若い人が、贅沢な住宅を持たないこと。4畳半一間で暮らせばいい。そうすると、奥さんが働きでなきゃいけない状況が減ってくる」だって。「政府に全部を叶えてもらおうなんて無理」 「自分の子どもが入れないと、日本死ねとかいう自己中心」と、それは凄すぎる発言をした。

一部の言葉尻をつかまえ、大騒ぎ大好きなマスコミやネットの世界は、またまた炎上。

書き込みをしたご本人、そんな筈ではなかったと、びっくり・ポンに違いない。

この番組、BS日本「深層NEWS」の名誉のために弁解をしておく。

番組の趣旨は、「未曽有の災害から日本人は何を学び、その後の復興にどう立ち向かうべきか。日本人に求められる“強く生き抜く力”とは何か」曽野綾子氏に質す…というものであった。

曽野氏は、自らが体験した戦後復興と震災復興とを重ね合わせ、「相手の苦しみ、悲しみをともに持ち、ささやかな親切を尽くすこと」の重要さを訴えた。これを伝えることが番組の、そして曽野氏の真意であった。マスコミの得意技、言葉だけが独り歩きした。

 

そんな時に某中学校の校長が、全校集会で「女性にとって最も大切なことは、子どもを2人以上産むこと。仕事でキャリアを積むこと以上に価値がある」などと発言。

「待ってました」とばかりマスコミの乱痴気騒ぎが始まった。

これに対し校長は、「生徒や保護者から直接おかしいという声は届いていない。私の発言で傷ついた生徒がいたなら真意をきちんと説明する」と述べ、自分の主張は正しいとの信念を語っている。

一方で、少子高齢化や不安定な年金制度などの課題を指摘し、「男女が協力して子どもを育てるのが社会への恩返し」と主張した。

何か、至極まともに聞こえてくるが、世の批判はすさまじいもののようだ。

 

スウェーデンのように、育児、介護はほとんど無料、素晴らしき福祉国家である。

自分の子供の育児はヘルパーに頼み、自分は他人の子供のヘルパーとして働いている。

何かへん!だと、気になって仕方がない。

秩父地方の総鎮守「秩父神社」、そこには昔から、「親の心得」という立札が建てられている。                  

赤子には肌を離すな。

幼児には手を離すな。

子供には目を離すな。

若者には心を離すな。

母親が、もっと豊かになりたいと、何よりも仕事第一優先になった時、触れ合いのタッチングラブは…

誰としたらいいのだろうか。  

幼児としっかり手を結び守ってあげるのは…子供の変化を見極める目は、みんなママ以外の人に委ねて、

「私は輝くビジネスウーマン!」   

秩父神社の立礼は、全く実のないお題目、そうあれと誰かが望んでいる。 

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2016年3月20日IKG(~飯島経営グループ)
カテゴリー:飯島賢二のコラム


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